亀井忠雄さん
1959年度普通科卒業
経歴
能楽師(葛野流大鼓方)。人間国宝(重要無形文化財保持者各個認定)。
2004年、紫綬褒章受章。2012年、旭日小綬章受章。2019年、能楽の最高秘曲「姨捨」をはじめとする様々な曲趣を奏する卓越した技法による舞台成果により、日本芸術院賞・恩賜賞受賞。
100周年にむけて
本郷学園の中等科入学より半世紀以上になります。昭和30年、文部省(現・文部科学省)の事業で「能楽三役養成」が駒込の染井能楽堂にて始まりました。
能楽堂に近く通学には好都合の本郷学園に入学いたしました。兄も弟2人も通学し兄弟4人共が学園の生徒でした。
染井能楽堂は松平邸の敷地の中にあり、戦後は盛んに各流が舞台で催しをいたしておりました。昔の方は教養として「能」を愛し後援もしてくださったと聞いておりました。亡父は明治の人間で戦前には松平賴寿様御夫妻が能楽の舞台に出られる折には、度々お相手をさせていただいたと申しておりました。
私の学生時代は、戦後十年位であり日本もようやく落ち着いた頃です。理事長は松平頼明様であったと思います。在学中は相撲部に入部し学友達と相撲の稽古に励み、関取達も理事長の計らいで来られ、我々は若手の方々とも稽古をしました。今でも相撲見物は私の趣味のひとつともなっております。
毎日毎日学園と舞台の生活で楽しくもあり、辛く厳しい修業時代でありました。今は松平賴武様と時々舞台でお会いし、お話をさせていただきますと、その時代時代を懐かしく感じております。