北原福二 先生

北原福二 先生

経歴

前・本郷中学校・高等学校校長(平成21年~平成28年)

100周年にむけて

本郷学園での生活が始まったとき、それまで経験した学校とは異なる雰囲気を生徒の中に感じました。全校朝礼で開始時間前に生徒が整列していること。整列は全校朝礼だけでなく、生徒総会でもそうですし、生徒会主催のクラブ紹介・学園祭や体育祭前の実施内容の説明時も朝礼同様に整然としていました。

ある年の体育祭準備で高校2年の生徒会役員が高校3年の先輩に向かって「今年の体育祭では応援団を結成し全体を盛り上げたい。先輩方にもご協力を…」と挨拶がありました。その後は、高校2年の実施要領に従って盛り上げていきました。先輩たちはただ単に「後輩たちのメッセージを聞く」という受け身の姿勢ではなく、後輩たちが「何を考えているのかを聞く」そして「それを積極的に応援したい」という姿勢を見せてくれました。

新入生のオリエンテーションにおいても、
「栞に書いてあることは質問があっても、『栞を確認するように』としか答えない。」
参加している先生方の指導も統一されていました。

こんなこともありました。午後から芸術鑑賞の日のことです。
「会場は…。」
「開演時間は…。」
「移動はそれぞれが考えて遅れないように会場に集合してください。」
指示はこれだけです。始めのうちは「もう一言の声かけや時刻表あるいは案内図があればもっと楽だろうに…」と感じていましたが、中学1年生含め全員が自分で移動の交通手段を調べ、遅刻者なしで開演しました。

多くの学校が生徒のモチベーションアップのために自律・自立の行動をどんな機会にどうとれるような機会を作っていくかということを工夫しています。本郷では、実際に体験させることでその機会を生み出していたのです。ともすれば手取り足取りの取り組みが「面倒見の良さ」と評価される中で、本郷の取り組みは「目先に頼らない野武士のような対応」であったと感じています。

私が在職中に関わった卒業生を紹介します。

  • 「震災後スーパーレスキューを目指した卒業生」
  • 「身の回りの生活用品をデザインしている卒業生」
  • 「大型重機のデザイン、設計している卒業生」
  • 「家具の設計・建物設計・都市設計に携わっている卒業生」

ものづくりから「何か社会貢献したいという“こころづくり”まで実に多彩な人材を輩出ししている学園でした。

それら全てが、社会で生きていくために必要な“最後まであきらめない”姿勢であったり、“教えられることを待つより、自らが学び取る”そんな生活姿勢が中高の6年間に身についたのではないかと思っています。コロナ禍という困難な時であっても、きっと何かを見つけ出してくれるだろうと思っています。

これからの益々の活躍に期待しています。

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