学校生活
サマーセミナー開催中
本校では、夏休み期間中に「サマーセミナー」を毎年開催しています。
大きく分けて「教養講座」と「教科講座」があり、在校生は、興味ある分野や勉強したい教科などを選択して受講しています。
今回ご紹介するのは、7月21日(土)に開催された本校卒業生の岩崎晃太郎さん(現・スターツCAM㈱建築設計部の主任)による『不安の先にある未来』と題された教養講座。
実は岩崎さんは、中学3年生の頃から学校にうまく馴染めず、ご自身曰く「成績は限りなく底辺」でかろうじて高校も卒業したとのこと。
そんな岩崎さんが立ち直ったのは、悩みの末に、自分の考え方を変えたことだったといいます。
「それまでは、『〇〇しなきゃいけない』と思って生きていたんだよね。“学校に行かなきゃならない”、“勉強しなきゃならない”。でも、そういう生き方って“義務”が基準になっているから苦しいし、つまらない。でも、ある時、“俺はもう、ワクワクすることしかしないで生きよう”って決めたんだよね。」
1度目の転機は大学時代にありました。
「何とか建築学科に受かったので、無理やり好きな設計事務所に押し掛けて、タダ同然で働かせてもらった。」と笑う岩崎さん。
この努力が実を結び、なんと在学中に提出した課題で2度の最優秀賞、5度の優秀賞、卒業制作は2位という錚々たるタイトルを手にすることに。こうして建築家のタマゴになった岩崎さんに、2度目の転機が訪れます。
それが東日本大震災です。
「建築を勉強していると、大学院に行くのが一般的。当然僕も行くつもりだったんだけど、その時、東日本大震災が起きた。
そしたら父親の会社経営がうまくいかなくなって、就職しなきゃいけなくなった。同級生たちがみんな大学院に行くのに、何で俺だけ!ってね。建築を辞めようかと思うほど悩んだんだけど、『そうだ、とにかく止まっててもダメ、動こう』って思って、被災地のワンちゃんを散歩させたり、餌あげたりするボランティアを始めたの。
そうして被災地を歩くとね、基礎しか残ってない。それまでは基礎の上の建物をどうカッコ良くするかを考えてたんだけど、震災がくると構造物なんて無力。そのとき、『あ、おれ、人を幸せにできる家を作りたいんだ』って分ったんだよね。
それまでは、競争に勝つために設計してたところがあったんだけど、それがなくなった瞬間だった。」
こうして就職に切り替えた岩崎さん、大手ゼネコンを辞退して「人が、心が、全て」を社訓にする「スターツCAM㈱」に入社します。それからは最短コースで一級建築士になり、いまは若干28歳で史上最年少の主任に抜擢され、毎日楽しく「人を幸せにする建物」を設計しています。
岩崎さんの話を簡単に伺ったあと、参加者全員が自己紹介をして、自分の夢を発表しました。
でもほとんど「20年後の夢は…ありません」という生徒ばかり。でも岩崎さんは、「いいんだよ~。夢ってそんな大きいものじゃなくていいよ。どんどんバージョンアップしていくし。ただ、今これができるようになりたいな~というの、何でもいいから書いてみてね」
と励ましてくれました。
下の「夢を叶える設計図ワークシート」、岩崎さんは自分で考えて作ったのだそうです。
やがて生徒達は、「建築家になりたい」「ラノベ小説家になりたい」「国家公務員になりたい」など、ぽろぽろと自分の夢を文字にするようになりました。
「目標をたてるときはねSMART目標って知っておくといいよ。明確(Specific)で、測定可能で(Measurable)、到達可能で(Achievable)、現実的で (Realistic)、時間の決まったものである (Timely)ことが大事なの。」と言う岩崎さん。
それぞれが自分の20年後、10年後、5年後、1年後、1か月後…を書きだし、発表したところで時間切れに。
最後に、
「じゃあ今日書いた紙を持って帰って、まず29日までに自分で決めた『やるべきこと』を実行してみてね。そしたらだんだん楽しくなってくるよ!」
という言葉とともに終わりました。
岩崎先生、とても面白い授業でありがとうございました!