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クラブ活動社会部

社会部 2つのビジネス・アイデア・コンテストで表彰

夏休み中に様々な大会が開催され、始業式では表彰も併せて実施されました。
今回は、世界大会に進出した「社会部」の高2-10組の西山知樹君、高2-11組佐々木健太君へ顧問の松尾先生がインタビューをした内容をお届けします。

始業式に「両名は世界大会に進出しました。」
という校長先生の紹介に、体育館にどよめきが起きました。

『パプアニューギニアにアウトドア商品を売り込む販売戦略』を英語でつくる高校生

松尾先生(以下、松尾)「このたびは2つの国際大会で勝利されたということで、本当におめでとう。そもそもビジネス・アイデア・コンテストとは何なのか、簡単に説明していただけますか?」

佐々木君(以下、佐々木)「まず、ITC(International Trade Challenge)大会では、主催者のFedEx(株)から課題が出されます。今年は『パプアニューギニア(PNG)にアウトドアで使う商品を販売する戦略をたてなさい』というものでした。早速調べると、すごい貧困国で発電所が1つしかないので、国民が慢性的に電力不足に悩んでいるとわかりました。そこで、ポータブルの太陽光発電シートを商品にすることにしたんです。」

松尾「非常に現実的ですね。その調べた内容を審査されるんですね?」

西山君(以下、西山)「はい。一次は書類審査です。商品のコンセプトや、価格設定、損益分岐点、商品を販売するチャネル、税金や製造コストなどを調べ、レポートに書きます。書類を提出するまでの2週間は、本やネットで調べるだけでなく、JICAや在日PNG人、ジャーナリストに電話で取材しまくります。書類審査で上位7チームに選ばれれば、全国大会で審査員にパワーポイントを使って10分間のプレゼン、質疑応答4分に答えます。ここで上位3チームに入れば、10か国から6人ずつ選ばれた60人の高校生が参加する「アジア国際大会」に進出できます。今年はシンガポールが会場国で、7月中旬から4泊5日で行かせていただきました。」

松尾「しかも全部英語で!?大変ではなかった?」

西山「うーん、英語より中身のほうが大変ですね。PNGについては全く知りませんでしたから、そこに何を売り込むのか、決めるのが本当に難しくて…。最初は貧困国だからという先入観にとらわれてしまいました。商品のコンセプトが決まったのは提出の前日の2時頃で、そこから…大変だったよね。」
佐々木「たまたま隣にいた外国人が俺らのプランの英語をチェックしてくれたんだよね(笑)」
西山「僕と佐々木は、文系と理系で専門が違っているんですけど、それが逆にうまく作用したと思います。」
佐々木「特にAICの方は、おれが商品のコンセプトを考えて、西山がそれをビジネスとして持続可能な形にする、という風に分業できました。お互いがいなければ勝てなかったと思います。」

アジアを盛り上げるために頑張りたい。

松尾 「シンガポールでのアジア世界大会では、日本勢は1チームも一次審査を突破できなかったそうですね。」

西山「全く歯が立たなかったです。他国のレベルの高さは、国内大会の比ではなかった。僕のパートナーはベトナム人でしたが、ベトナムでは英語を学校では習わないそうなんです。でも僕らより全然英語が上手で…何より、アジア出身の高校生たちには、『自分の国を成長させるんだ。』という使命感がはっきりとありました。僕も、アジアを盛り上げるために頑張らなきゃいけない、と強く思うようになりました。」

左:西山知樹、中:Fedexジャパン・マネジャーのケネスさん、右:佐々木健太

アジアの未来をつくる高校生たち60人。
10か国の俊英が集まりました。

全体ミーティングで発言する西山君

アジア国際大会では、スーツを着用。
すっかりジャパニーズ・ビジネスパーソンになった二人

AIC(Asia Innovation Challenge)について

松尾「では、AIC(Asia Innovation Challenge)について教えてください。

西山「シンガポールの生徒2名と、僕ら日本人2名の4人で一チームを作って、『ブルネイか、タイか、ミャンマーのうち1か国を選んで、その国に存在する社会的な課題を解決するビジネスプランを立てなさい』というコンテストです。」
佐々木「西山が『高校生外交官プログラム』という無料のスタディツアーに受かって、全日本代表の一人として7月16日から3週間もアメリカに行ってしまっていたので、この案は僕が最初メインで創りました。僕がコンテストで主体的に動いたのはこの大会が初めてです。ITCで経験をしていたので、リラックスしてできました。」

大会はスカイプで二か国にあるフェデックス支社を接続し、オンラインで行われた。

外国人のメンバーとのコミュニケーションの難しさと面白さ。

松尾「シンガポールの子たちとは、どう協力したんですか?」

西山「主にSkypeでコミュニケーションをとっています。でも、コミュニケーションには本当に苦労しました。試合当日も、『ほんとにシンガポールのメンバーは、来てくれるかな?審査当日にドタキャンするかも』って思ってました(笑)」

 

松尾「シンガポール人は日本人とメンタリティが似ていて、だいたいこういうコンテストだとシンガポール人がリーダーシップを取るのですが…」

佐々木「確かに、最終審査で見た限り、日本人でリーダーシップをとったのはおれたちだけだったと思います。」
西山「会ったことがない人とSkypeで、同じアイデアを作り出す困難さを感じました。」

国際大会に残った7チームの日本人高校生たち

自分一人で考えていても、いいアイデアは出ない。

松尾「プランを作るとき苦労した点は?」

西山「実は、ITCでシンガポールに行った帰り道、ずっと二人でケンカしてたんですよ」
佐々木「あれって別にケンカじゃなくね?議論だろ?」
西山「まあ、議論というか、ケンカというか(笑)僕たちのプロダクトは、蚊が嫌がるペルメトリンという化学薬品をしみこませた布で、ヒジャブとアバヤを作って売る、というものだったんですけど、これがブルネイの需要にあったプロダクトなのか、ニーズに合ってるかが僕は一番考えるべきだって思ってて。でも佐々木は違う。」
佐々木「おれは蚊の習性とか。環境保護とかリサイクルとか。そういう点が気になるから。」

2人のブレインストーミングの記録ノート。英文はプレゼンのスクリプト

松尾「それで最初に作成した提案資料から、最終稿が大幅に変わったんだね」

西山「強く主張するポイントを変えました。こういうコンテストをやっていて思うのは、自分ひとりで考えていてもアイデアって出ない、っていうことです。佐々木と議論して、二人で考えて、だんだんいいものが出てくる。僕と全然違う、理系的な、生物学的なアイデアを持っている佐々木とパートナーくめたのは、本当によかったです。」
佐々木「お互いに補い合う。アジア大会でも思いましたけど、10か国から来てる人たちみんな違っていて、いろんな考え方をするし、それがいい意味で衝撃でした。違う考えの人と一緒に考えた方が、いいものが出てくると思います。」

松尾「素晴らしい発見だね。それで、2人は優勝賞品として、年内にブルネイに招待旅行だよね?」

西山「はい。僕たちとシンガポールメンバーの4人で、スタディツアーに連れて行っていただける予定です。」

松尾「国際大会に参加して、成長したと思いますか?」

西山「うーん。これまで、僕はオーストラリア・アメリカ・シンガポールといろいろ行かせていただきましたけど、そこで思ったのは、なぜこんなに差が生まれるのか、ということでした。それまでの自分は、日本しか知らなかったし、世界といっても欧米という考えでしたが、初めて出会ったシンガポールのアジアの人たちが、<上の世界>を見せてくれました。本当に衝撃で、上には上がいる、世の中にはすごい人がいると心から思いました。全く僕ら日本人はアジアの若者に太刀打ちできないです。僕ももっと上を目指したい、と思いました。」

松尾「いいですねえ。2人は、将来については考えていますか?」

西山「もともと小学生のころから政治経済、特に地方創生に興味がありました。日本が縮小していく中で、地方がどうあるべきなのか、経済学を学んで、成熟社会になった日本で、人々がどうすれば豊かに暮らせるかを考えていきたいです。」

佐々木「僕は生物が小さいころから好きなので、ホリスティックに地球の生態系を保全するための方法を考える研究をしたいです。」

松尾「佐々木君も明確に決まってるんですね。生物好きということですが、例えば?」

佐々木「幼稚園の時にはもう図鑑は読んでいました。」

松尾「すごいですね。普段、家では一体何をしているんですか?」

佐々木「生き物と触れ合っています。」

松尾「触れ合うっていうのは、飼っているってことですか?何を?」

佐々木「魚と亀とヤモリ、それから虫をいろいろですね。カブトムシ、ミールワーム、本当にいろいろです。なので、家に帰ったらずっと、餌をやったり、観察したり、実験したりしています。」

目標の大学や学部は?

佐々木「京都大学の農学部です。今年、京大の科学セミナーの受講生に選ばれたので、大学の実験室で研究を始められるのが楽しみです。」
西山「僕は経済学部志望で、東大文2を今のところ目指しています。海外へも留学したいです。」

松尾「二人とも、そのままいけば世界に貢献できる人になれそうだから、頑張って!何より、楽しく勉強をしてくれていて、話を聞いてて面白かったです。今日は忙しいところありがとうございました。」

2人「こちらこそ、ありがとうございました」