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今月の一言

2022年4月のひとこと

コロナウイルスの『過ぎたあと』、そのうち復興が始まるだろう。だから僕らは、今からもう、よく考えておくべきだ。いったい何に元どおりになってほしくないかを。……中略……

 戦争が終わると、誰もが一切を急いで忘れようとするが、病気にも似たようなことが起きる。苦しみは僕たちを普段であればぼやけて見えない真実に触れさせ、物事の優先順位を見直させ、現在という時間が本来の大きさを取り戻した、そんな印象さえ与えるのに、病気が治ったとたん、そうした天啓はたちまち煙と化してしまうものだ。僕たちは今、地球規模の病気にかかっている最中であり、パンデミックが僕らの文明をレントゲンにかけているところだ。数々の真実が浮かびあがりつつあるが、そのいずれも流行の終焉とともに消えてなくなることだろう。もしも、僕らが今すぐそれを記憶に留めぬ限りは。 (後略)

※「中略」は原文のまま。「(後略)」は引用者による。

たのしい知識 -ぼくらの天皇(憲法)・汝の隣人・コロナの時代-
高橋 源一郎 朝日新書 2020年9月

新型コロナウイルスの出現により我々は、当たり前のことが突然当たり前ではなくなる、ということを幾度となく経験し、その度に何かと不自由な思いをしてきました。ただ、それがゆえに我々にとって何が大切なことで、何がなくてもいいものなのか、ということを真剣に考える機会が沢山あったように思います。もちろんコロナの影響は「悪いこと」の方が圧倒的に多かったとは思いますが、今考えると「良いこと(=新しい発見)」もあったのではないかと思います。おそらく、以前と全く同じ世界を再現したいと思う人はほとんどいないでしょう。

さて、新しい一年(令和4年度)が始まりました。今までの生活と比べ、大きく変わってしまったこともありますが、自分にとって何が大切で何がなくてもいいものなのかをしっかりと考え、自分の生活を(コロナ禍以前の生活と比べ)より良いものへと変えていきましょう。