今月の一言
2023年4月のひとこと
〈前略〉 「こどもの作品なんだもん。描きかけでも、一本の線でも。その子の全力で描いたのなら、大切にしなくちゃっと」
宮城がこのように考えるようになった原点には、やさしかった母との思い出があった。
「母がね、大変自由に育ててくれたし、自由に絵を描かせてくれましたから。手が長い長い長い長いね、ラジオ体操の絵を描いて学校へ持って行ったの。でも、先生にこんな長い手はありませんから、もっとちゃんと描きなさいと言われて挫折しましてね、絵描きになるのは諦めたの。
だから私、ねむの木のこどもたちに、こんな風に描きなさいとか、違うでしょとか、そんなことは絶対言わない。わからないような絵を描いていたらね、『これ、何?』っていうのが一番傷つくと思うの。だから、『この絵のお話して』って言うの」
『道をひらく言葉 昭和・平成を生き抜いた22人
第1章「やさしいことはつよいのよ」 歌手・ねむの木学園園長 宮城まり子』より
NHK「あの人に会いたい」制作班 NHK出版新書695 2023年2月
自分にその意図はなくても、知らず知らずのうちに誰かを傷つけてしまっているということがありますが、それを避けるためにはどうすれば良いのでしょうか。
具体的な解答はなかなか見つかりませんが、上記の「この絵のお話して」という言葉は、「人の心に寄り添う」とはどういうことかを我々に教えてくれるものだと感じています。
「いつかは自分もこんな素敵な言葉が使えるようになりたい」と思っていますが(いつになるのやら・・・)、そうなるために「どんな言葉を使ったらいいのか」ということに対しては常に心を配るようにしたいと思います。