今月の一言
2024年11月のひとこと
11月22日(金)に、毎年恒例のマラソン大会が開催されます。
中学生は約6.5㎞、高校生は約12㎞を走る、ハードな行事です。そして、高校3年生にとっては、最後の学校全体での行事となります。
体育の授業で、マラソン大会に向けての練習が始まると、学級日誌には「なぜこんなに苦しい思いをしなくてはならないんだ」とか「陸上選手でもないのに、こんなに長い距離を走る意味がわからない」などと否定的なコメントが目立つようになります。しかし、不思議なことにマラソン大会が終わると、この行事に対する意義を自分なりに考えたコメントや完走することを通して得たものを語るコメントも出現します。
学校行事に対する思いは、人によって異なります。これは当然なことです。学校行事に対する生徒諸君の様々な思いがあるからこそ、皆で学校行事に取り組む意義があるのではないかと思っています。人によって異なる思いがある行事に対して、主人公である生徒一人ひとりが自分にとっての意義を見つけられることが重要なのです。
上位でゴールすることを目指す人、昨年の自分のタイムを更新することを目指す人、完走することを目指す人、仲間と走ること自体を楽しむ人、人によって目指すものは違っても、11月22日という日に向けて、仲間とともに練習を積み重ねて、自分の立てた目標に向かって努力すること自体が、貴重な経験なのです。この過程にこそ、苦しみを伴うマラソン大会の意義があります。
数年前になりますが、マラソン大会当日、集合時間よりもかなり早い時間に会場にやってきて、ウォーミングアップに励む高校3年生がいました。「受験勉強で忙しいだろうに、何故こんなに早い時間に来たの?」と聞くと、この高校3年生は「高校生活最後の学校行事であるマラソン大会を楽しみたいからです。万全の状態で走りたいんです。大会前のこの静けさが好きなんです。」という答えが返ってきました。苦しみを伴うマラソンから、楽しみを見出すことができる感性、そして大会前の静けさを愛しむことができる感性は、必ずや人生に豊かな色彩を与えてくれるでしょう。本郷では、各学年で最後にゴールする人に対して、皆で声援を送り、拍手で迎える伝統があります。いつの頃からか根付いた、この良き伝統を大切にして、自身の健康状態に留意しながら、苦しみの先にある、自分なりの喜びを見つけてほしいと思います。