今月の一言
11月のひとこと
新幹線の開発責任者であった仲津英治氏は、航空機の研究者として活躍していた山名正夫氏の「飛行機設計論」が大いに役立ったと語っています。特に「一木一草、一鳥一魚 皆我々の輝ける永遠の教師であろう」という言葉に感銘を受けたそうです。
当時、時速300㎞の最速記録を作った新幹線500系の開発は「速さを求めれば騒音も大きくなることから、技術的には走らせることより住宅地の脇を走っているために“騒音”をいかに少なくするかの技術開発」が鍵だったようです。野鳥の会会員でもあった仲津氏は獲物に静かに近づくフクロウの羽から空気抵抗を少なくする風切羽にあるセレーションをヒントに、パンダグラフの開発をしました。また、高速でトンネルに入る際に出口に生じる圧縮波である“トンネルドン”と言われる騒音についてもカワセミのくちばしをヒントにしながら解決策を模索しました。これらの技術が今の新幹線に組み込まれているのです。
問題点を発見し解決の糸口を見出す努力には、“教えられことより、学び取る力”が必要ともいえるでしょう。問題発見のためには、常に視野を広く持ちたいものです。