今月の一言
2020年10月のひとこと
本来、人間は「互いに違う」ということを前提に、違うからこそお互いに協力し、異なる能力を合わせながら、一人一人の力ではなし得ないことを実現してきました。そのために、人間は他者とのつながりを拡大するように進化してきたわけです。人間同士が尊重し合うことの前提にあるのは、相手を100%理解することではなく、「相手のことはわからない」という認識です。
(「スマホを捨てたい子供たち」 山極寿一 ポプラ新書 2020年6月 より)
今回は山極先生(京都大学総長)の上記言葉を紹介させていただこうと思っていたところ、本校で毎月発行されている「カウンセリングルーム便り」の9月号にも次のような言葉がありましたので、併せて紹介させていただきます。
友達との関わりを通して、相手が自分とは違う感じ方、考え方、行動の仕方をするんだということを実感します。そして‘違い’を受け入れることもあれば、受け入れることができず認め合えなくなることもあります。
いずれにしても、自分と相手は‘違う’のだ、ということを体験することは大変意味深いことです。
(下線はいずれも引用者による)
「相手のことはわからないということを認識する」ためには、そして「自分と相手とは違うのだということを体験する」ためには、とにかく直接相手と対峙することが大切です。この数カ月(のコロナ禍)で、生徒諸君は仲間と同じ空間を共にすることの大切さを改めて感じてくれたと思いますが、彼らには今後も学校というフィールドを最大限に活かして、できる限り多くの仲間と直接対峙し、自分と他者とは違うということを大いに感じてほしいと思っています。