今月の一言
2023年7月のひとこと
僕が好きな柳田さんの名言がある。それは「絵本は人生に三度」という言葉だ。有名な言葉だからご存じの人もいるかもしれないけれど、改めてその意味を聞いてみた。
「子どもの頃に親に読み聞かせをしてもらったり、自分自身で読んだりするのが一度目。二度目は自分が親になって子どもに読み聞かせをしてあげるときです。大人になって読んでみると、子どもの頃には気付かなかったさまざまな発見がある。一緒にワクワクしたり、ゲラゲラ笑ったり、ドラマチックだったり。
〈 中 略 〉
三度目は中高年になってからです。本を読んだり、映画を見たりするのがしんどくなってきたときに絵本を開いてみると、ハッとすることがある。人生経験を積んだぶんだけ深く読むことができるんですね。『絵本は人生に三度』というキャッチフレーズは、私自身の実体験をもとにして生まれた言葉なんです」
学校法人本郷学園には中学・高校の他に幼稚園がありますが、先日その幼稚園で本校中高生による「絵本の読み聞かせ会」が行われました。幼稚園児に向けて絵本を読んでいる生徒の表情は非常に穏やかかつ楽しそうで、生徒にとって素晴らしい経験になったのではないかと思います。そのような機会を提供してくださった幼稚園の皆さんに感謝しております。
さて、そんな生徒たちを見ていて、私には上記にあるような「二度目」の絵本の経験がほとんどない、ということに気付きました。そんな自分が昔開いた絵本を読み返し、新たに何かを感じることができるかどうかは大いに疑問ではありますが、「絵本は人生に三度」という柳田さん(柳田邦男氏)の言葉に触れ、さらに幼稚園児に読み聞かせをしている本郷生を見て、(二度目は飛ばさざるを得ませんが)遅まきながら「三度目」にチャレンジしたいと思うようになりました。「人生経験を積んだぶんだけ深く読むことができる」とは到底思えませんが、ハッとする瞬間を何とか経験したいと思っています。