今月の一言
2023年11月のひとこと
大学というのは学ぶところじゃなく、新しいことを考えるところ。大学時代は考える力を養う期間ですから、普段からそういうことを考えてないとダメなんです。答えのある問題だけに取り組まないで、答えのない問題を自分で考える訓練をしておかないと社会に出たら生き残れないよね。研究者になるにしても、企業に入るにしても、今まで誰も考えたことのないようなことをやる人が社会で成功するわけだから。
そういう考える力を養う時間をつくるためにも、どうでもいいものに関しては、省力化できるところはするべき。くだらないと思う課題があったらChatGPTに書かせてコピペすればいい。そうしたら余計なエネルギーを使わなくて済むでしょう。
しかし、文科省は「そういうことをされたら困る」というスタンスだと報道されているよね。リポートなどでChatGPTを使ってくれるなと。でも、そんなこと気にする必要なんてない。誰がやってもいいような、くだらない作業をAIに任せるだけなんだから。その代わり、本当に自分が興味あること、一番面白いと思うことはAIに聞いても教えてくれない。何に真剣に取り組むべきかは、じっくり自分の頭で考えるしかない。
『ChatGPTは神か悪魔か』
落合陽一/山口周/野口悠紀雄/井上智洋/深津貴之/和田秀樹/池田清彦
宝島社新書 2023年10月
第七章『「クソどうでもいい仕事」をAIに任せれば、人生で「やるべきこと」がみえてくる』 池田清彦より
我々の生活を大きく変えうる驚異のテクノロジー「ChatGPT」の出現に対し、我々がどのような態度を取るべきなのかは非常に難しい問題です。ただ、上記にあるような「くだらないと思う課題があったらChatGPTに書かせてコピペすればいい。そうしたら余計なエネルギーを使わなくて済むでしょう。」と(仮に思っていたとしても)周りに宣言するほどの覚悟は私にはまだありません。
一方、「大学というのは学ぶところじゃなく、新しいことを考えるところ。」という指摘に対しては私もまさに同感で、その大学という場で、更にはその先にある社会という場で持てる力を大いに発揮するためには、高校までの「学び」を充実させる必要があります。そのためにChatGPTと今後どう付き合うのか(どう使い、どう使わないのか)、ということを本校の生徒諸君には是非とも自分の頭で考えてもらいたいと思います。使い方によっては毒にも薬にもなるもので、まさに正解のない問題といえますが、だからこそChatGPTとどう対峙するのかということについて「自分なりの考え」を持つことが大切だと感じています。